コード(和音)について《コードの種類と役割》

コードの仕組みと種類のイメージ

コード(和音)について・コードの種類と役割を開設

曲を彩る和音の世界

《はじめに》

オリジナルの作曲を始めると、
メロディは出るけどコードが微妙…
いつも同じコードしか使えない…

このページではそんな方向けにコードの特徴を説明します。
なお、”ダイアトニックコード”の理解が必須になりますので、
うろ覚えだったりする方は当サイト内”作曲の基本”を先にご覧下さい。
以下、ダイアトニックコードはD.T.C.と略します。

コードの響きは二層構造

既存曲のコピーをした事が有る方はご存知だと思いますが、
コードにはメジャー、マイナーと名付けられた
明るいコードと暗いコードが有ります。

ですが、コードの響きは明暗だけでは有りません。
曲のメロディはキー(調)に基づいています。
我々はキーの主音からの音程差で、
明るい、暗いにプラスして
安定、不安定といった方向性を聞き取ります。

実験してみましょう。

・ドレミファソラシドと弾いた後にドミソという和音
・ドレミファソラシドと弾いた後にラドミという和音
・ドレミファソラシドと弾いた後にファラドという和音

上記を試すと、

・明るく落ち着いた印象
・暗く落ち着いた印象
・明るく浮遊感のある印象

こんな風に感じるのではないでしょうか。

この印象はキーが変わっても一緒です。
キーの音列の何番目のコードかで、
明暗に加えて安定、不安定の方向性が決まります。

単純なCというコードでも
key=CならⅠのコードになり安定感が、
key=GならⅣになり浮遊感が、
KEY=FならⅤになり不安定感が足されます。

キーによって変わるコードの響き、
響きがもたらす役割を音楽理論では”機能”と呼びます。
安定した響きをトニック(T)、
浮遊感の有る響きをサブドミナント(SD)、
不安定な響きをドミナント(D)と名付けています。
下記のコード説明の際に書いておくので参考にしてみて下さい。

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単純、かつ至高の3声コード

当サイト内の”作曲の方法” および、”作曲の基本”ページ内にて
Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵmは3声のコードも覚える様に記載しました。

まずはそれぞれの響きを紹介しましょう。

Ⅰ…落ち着く響き、曲の中心(T)
Ⅳ…浮遊感が有る響き、場を繋いでくれる存在(SD)
Ⅴ…不安定な響き、曲を盛り上げる存在(D)
Ⅵm…暗く落ち着く響き、曲に切なさをもたらす存在(T)

以上がよく使われる3声のD.T.C.です。

この4種は非常に強い響きを持っています。
そして、コードというのは4声にしてしまうと
複雑化して印象がぼやける傾向に有ります。
ⅥmとⅥm7は全く違う印象のコードなのです。
それに対して、ⅡmとⅡm7では大きな差は生まれません。

その為、この4種は3声でも覚えておいて下さい。

複雑、多彩、4声コード

単純だった3声のコードに比べ、
7thが足される4声のコードは非常に複雑な響きを持ちます。
簡単に説明するとドミソ(Ⅰ)がドミソシ(Ⅰmaj7)になる事で、
コード内にミソシ(Ⅲm)の響きも生まれるからです。
当然、暗さや切なさが足されます。
マイナーのコードでも似た現象が起き、
ラドミソ(Ⅵm7)ではドミソ(Ⅰ)の響きが生まれ、暗さが減ります。

以下、それぞれの響きを説明していきます。

Ⅰmaj7…Ⅰに切なさ、儚さを加えたコード(T)

Ⅱm7…浮遊感を持ちつつ、ⅤやⅤ7に向かうコード(SD)

Ⅲm7…T系としては余り使わずⅥmへ向かうD系の要素を持つコード(T)

Ⅳmaj7…Ⅳに切なさ、儚さを加えたコード(SD)

Ⅴ7…最も緊張感と進行感の強いコード、山の頂点の役割(D)

Ⅵm7…Ⅵmの暗さを緩和したコード(T)

Ⅶm7(b5)…D系としては余り使わずⅢmへ向かうSD系の要素を持つコード(D)

以上が4声のD.T.C.の7種になります。

便利な言葉、3+3+1

ここまでの解説を読んで、
鋭い方はD.T.C.に幾つかの傾向が有る事に
気付いたのではないでしょうか。

Ⅱm7はⅤまたはⅤ7に向かいたがり、不安定なⅤやⅤ7はⅠに落ち着きたがる。
Ⅶm7(b5)はⅢm7に向かいたがり、Ⅲm7はⅥmに落ち着きたがる。
ⅣまたはⅣmaj7は行き先を持たず、浮遊感が有る。

少し乱暴ですが、上記した様な
メジャー系3種+マイナー系3種+例外1の形で
ダイアトニックコードを覚えると判りやすい筈です。
例外としたⅣは、行き先がないというよりは
どこにでも行けるイメージで覚えて下さい。

ちなみにメジャー系のⅡm7→Ⅴ7という動きは
ツーファイブという特別な名称が有ります。
D.T.C.内に無いコードでm7→7と進行した時は、
別のキーのツーファイブを疑うのが常道です。

例えばkey=Cの曲で、
C(Ⅰ)→C(Ⅰ)→Em7(Ⅲm7)→A7(Ⅵ7)
こんな風にコードが付けられていた場合、
KEY=Dのツーファイブを一時的に借りてきた
Em7(Ⅱm7)→A7(Ⅴ7)と解釈します。
(”一時転調”と呼びます)

A7はkey=CのD.T.C.では無いですが、
key=Dから借りてくる事で曲に別のキーの響きを足している訳です。
A7の後はDm7(Ⅱm7)→G7(Ⅴ7)という感じで
key=Cの世界に戻っても良いですし、
key=Dに転調してD(Ⅰ)→Bm7(Ⅵm7)みたいに進むのも有りです。

かくも楽しきアナライズ

D.T.C.の機能を覚えると、何故曲が進んでいくのか、
お洒落な曲とシンプルな曲が有るのは何故なのか
そんな事が判ってくるかと思います。

D.T.C.と他のキーからのコードを組み合わせ様々な方向へ向かう、
旅行プランの様な物がコード進行なのです。
そして、最後に帰り着く”我が家”なのがⅠのコード。
ただし、当然ながら自由な計画を立てるには経験と慣れが必要。
そこでお勧めしたいのがアナライズ(解析)という作業です。

これは、売れた曲や自分が好きな曲の楽譜に
ⅠやⅥmなどの数字表記を書き込み、
曲の構造を調べるというものです。
普通の楽曲はD.T.C.が基本になっているので、
まずはそれを埋めて、それ以外のコードが
一体どんな役割を持っているのか調べる。
とても音楽の理解に役立つと思います。

個人的には学生時代から生徒に教える今に至るまで、
とても大好きな作業です。
採譜(耳コピ)の作業が早くなったのも
アナライズを沢山してきたからだと思います。
キーさえ判ればD.T.C.は判別出来ますし、
D.T.C.からの対比でそれ以外のコードも分かると。

当サイトの別のページでは、
J-POPや洋楽などの様々な楽曲のアナライズと解説をしています。
自分自身でアナライズを行うのと並行して
名曲が名曲である理由を知ったり、
作曲時のネタを増やす意味で是非ご覧頂ければと思います。

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