音楽制作会社の種類とまとめ

音楽制作会社のまとめイメージ

音楽制作会社とは?(大手から個人クリエーターまで徹底比較)

このページでは大手音楽制作会社から個人クリエーターまで、あらゆる形態と規模の音楽制作会社の分類や種類を、それぞれの制作会社の役割や強み、メリット・デメリットを、一般的にはあまり知られていない業界構造と合わせてわかりやすくご紹介致します。

みなさんが普段耳にしている音楽はどのような制作会社やプロダクションが作成しているのでしょうか?
みなさんのプロジェクトで音楽が必要になった場合、実際どのような制作会社に依頼をするのがベストなのでしょうか?

会社一覧だけではわからない、それぞれの特徴をもとに
音楽制作の依頼を検討中の方や、音楽業界に進路を検討中の方の参考になれば幸いです。

①大手音楽制作会社系

ひとくちに大手といっても、

A:メジャーアーティストなどのエンタメ音楽を作るレーベル系の音楽制作会社
B:上場企業(の中でも大手企業)などのCM音楽などをメインに作る商用・商業系の音楽制作会社

大きくは上記のふたつに分類されます。

Aは、ユニバーサルミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)、ワーナーミュージックなどのメジャーレーベル(レコード会社)がそれぞれの系列の傘下(子会社や実質的に子会社など)の音楽出版社を運営しており、専属の作家やクリエーターを抱えて作品を行っています。
所属作家は、完全な専属契約を結び印税分配契約を締結していることが多い。

関連企業ベースでみるとレコード会社自体が音楽制作会社の機能も持っており、エンタメ産業の成長とともに、(これまでは)ミリオンセラーを狙うことを一番の目的として運営されてきている制作会社です。
音楽制作のトータル予算で数百万〜がボリュームゾーン。また、親会社のレーベルに関係のないアーティストへのサービス供給は基本的に行っていない。
販売益に加え、著作権使用料の印税収入での売上が大きな収益源となっている。

Bは、売上高数十兆円〜規模の一部上場企業(トヨタなど)のCMやプロモーションに関わる音楽制作をメインにしているプロダクション。
音楽制作のトータル予算で数百万〜がボリュームゾーン。

■ 強み/メリット

世界でもトップレベルの作曲家・アレンジャーが、潤沢な予算で一流ミュージシャンと一流スタジオのみを使って制作出来る為、これ以上ないレベルのハイクオリティーな作品作りが可能。
売れる音作りの為に、一切の妥協をしない。
クオリティーやスピードも安心。
業界の一流スタッフと対面で打合せや制作進行する為、一流の知識や人脈も培われる。
使える制作機材の総額数十億円レベル。

■ 弱み/デメリット

近年の制作環境におけるコストは低下しつつあるものの、潤沢な予算があり、且つ企業的・アーティスト的な実績やバックボーンが整っていないとお願い出来ない。
売れる音作りの為に、アーティストの意向よりプロデューサーの意向を優先されることが多い。
Aに関しては、著作権の買取りでの制作は行っていない為、そもそも依頼主が自由に使える状態での音楽提供は行っていない。

②クリエーターチーム音楽制作会社系(当社はこの形態です)

特定のレコード会社(レーベル)との資本関係や特定の出版社との印税分配契約がない為、メジャー系のアーティストへの楽曲提供もレーベルの垣根を超えて行い、上場企業などのCM音楽やプロモーションの音楽制作も行うが、所属作家やミュージシャンは完全な専属契約を結んでいない場合が多く、著作権の買取り(財産権の譲渡)も可能な状態で制作が可能。
①に肉迫するレーベル品質を担保しつつ、所属クリエーターの裁量制ワークスタイルを採用することや、対面打合せに伴うや移動をカットすることにより、コストも削減。
5,6名〜数十名のスタッフ規模が多い。(当社は70名程)

レーベル的なしがらみと著作権のしがらみがないので様々な企業やアーティストへの作編曲や、学校関係の音源制作、官公庁や一般個人の音楽制作ニーズまでフレキシブルに請け負うことが多い。

※ 当社は、作家事務所と音楽制作プロダクションそれぞれの良いとこ取りの形態をとっています。

■ 強み/メリット

国内トップレベル実績を持つ作曲家・アレンジャーが、予算に応じて一流ミュージシャンと自社スタジオや提携スタジオを使ってワンストップで制作出来る為、限られた予算の中でハイクオリティーな作品作りが可能。
クライアントの目的達成音の為の音作りに、一切の妥協をしない。
予算数万円〜数十万円がボリュームゾーン。
使える制作機材の総額数億円レベル。
①と同じようなスタッフィングと工程の為、クオリティーやスピードも安心。
数十名以上の会社の場合、あらゆる専門ジャンルのクリエーターが在籍している為、幅広い用途とジャンルに対応可能。
著作権の財産権譲渡で自由に使える状態で納品してもらえる。
自社スタジオを持つ会社は、作曲・編曲だけでなく録音・ミックスダウンやマスタリング・楽譜制作まで一貫して行える作業環境を持っている為、作業が早い。

■ 弱み/デメリット

基本的に対面打合せなどは別途実費がかかるか、対面打合せは行っていない場合がほとんど。
クオリティーを犠牲にするようなコスト削減には対応しない場合がほとんど。
このような形態の音楽制作会社は日本では数社しかない。

③市場特化型クリエイティブチーム系

特定のジャンルや市場に専門性の高いクリエーターを集めたチーム系のプロダクション(法人化していない場合もある)

例えば、・ゲーム音楽専門・アイドルソング専門・CM音楽専門・テレビ番組専門などの音楽制作会社があり、数名〜20名規模の構成、特定の取引企業をベースに定量的な制作活動を行っているところが多い。

■ 強み/メリット

特定ジャンルや特定市場でのハイクオリティーな制作が可能。
特定分野に関してトップレベルスキルを持つクリエーターが所属しているところがほとんどで、各社その分野の更に狭い分野で専門性を打ち出している。
また、この分野の組織には特定業界の中で個人名の名指し、すなわち指名を受けて仕事を取れるブランド力を持つクリエーターも。
クライアントの目的達成音の為の音作りに、一切の妥協をしない。
予算数十万円〜数百万がボリュームゾーン。
使える制作機材の総額数億円レベル。
クオリティーやスピードも安心。

■ 弱み/デメリット

専門性の高い分野で固定的な市場の中での取引先に絞っている為、発注依頼する側にもその業界や分野の知識を備えた上で依頼しないと意思の疎通が難しい。
一般的に基本料金を公開しているところは少ないが、コストは高めで潤沢な制作費が必要。
職人気質クリエーターが中心のチーム構成の場合が多く、カスタマーサポートに弱い。
専門性が狭い為、対応出来るジャンルが少ない。

④コスト重視系の制作会社

「コミコミ¥30,000!」のような、激安・格安を売りにした制作会社。

■ 強み/メリット

激安、コスト優先で制作依頼が可能

■ 弱み/デメリット

クオリティーは低く、アマチュアよりも低品質な場合も
安さ優先の為にクオリティーを犠牲にする
(優秀な人材や一流機材などに全くコストをかけれない)
コストを抑える為にあらゆる作業を一人で行うことが多い為、専門性に欠ける
専門性を求められる仕事を行っていない為、あらゆるスキルやノウハウや実績がない
クオリティーやスピードには当然期待出来ない

⑤個人クリエーター

会社に属さない、フリーランスの個人音楽クリエーター。
一流のスキルと実績を持つトップクリエーターから、ローカルの作家、駆け出しの若手クリエーターまで、対応ジャンルやクオリティーや料金感にとても大きな振れ幅がある選択。

その人のことを信頼できる程よく知っていて、充分なコミュニケーションやディレクションが可能であれば、交渉次第で一番コストを抑えて音楽を発注できる可能性が高い。

■ 強み/メリット

相談と交渉次第で、あらゆる面で融通がききやすい。
制作料を抑えることが出来る。
ディレクション次第で、クオリティーの高い制作物が作成可能

■ 弱み/デメリット

発注依頼する側にもその業界や分野の知識を備えた上で依頼しないと意思の疎通が難しい。
個人でやっている為、カスタマーサポートに弱い。
専門性が狭い為、対応出来るジャンルが非常に少ない。
予定外の制作内容や修正が発生した場合、外注さんや他社を使って制作進行をキープすることしか選択肢がなく、その際は予想より大きな外注費を請求されることがあり、結果的に②や③に頼むより高額になることもある。
途中で病気や事故により制作が完了しない場合や、常に納期や時間にルーズな人も。